木材店が造る木の家 益子材木店

変わらない白い雪

date 2014.03.05

旧大畑駅から市街地を国道279号線バイパスに向かう途中、こちらはかつて青森ヒバ専門の製材工場でした。商標は大きなマルに東の一文字で、弊店倉庫にもこちらの製品がまだいくつか立て掛けられてあります。

数年前。地元同業者によると、青森ヒバ製品の需要の落ち込みと経営者の高齢化、そして後継者不足から廃業を余儀なくされたと聞きました。

旧東製材所

東北自動車道が全線開通していないその当時。土台や厚板を満載にした大型トラックが早朝から待機し、荷台をすっぽり覆うシートの上には山のような雪。作業開始は運転手さんが前後輪のタイヤに凍り付いて固まった雪を、鉄製のハンマーでたたき落としてからです。一車分のヒバ材製品を下ろしたその日は、終日あの青森ヒバ特有の芳香が作業着から抜けることはありませんでした。
半分凍った製品を一本ずつ手作業で下ろすことが当たり前とされていた運転手さん。荷台の上から「雪が降るとここまで三日掛かる」と軽い青森弁で笑いながら言い、そしてつぶやくように「雪が無いだけこっちは幸せだぁ」とも。

そんな昔話も遙か遠い過去のこと。
最盛時には十社前後あった下北半島内の青森ヒバ専門工場も、現在はこちらを最後にしてすべて操業を終えたそうです。工場入口から見える広い構内は、深い雪に埋もれて立ち入ることはできません。かつてのあの頃と同じものは、タイヤに凍り付いて氷の塊となったこの白い雪だけです。

あの「国産木材の需要拡大」と唱えるお題目は、いったいどこに向かって叫ばれているのでしょう。

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